【実践編】犬と避難所で過ごすために|発災直後の行動からトラブル対策・クレートトレーニングまで

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防災グッズを揃えただけでは、避難所生活はうまくいきません。実際の災害現場では「グッズはあったのに、吠え続けて気まずかった」「同行避難できると思っていたのに避難所に入れなかった」という声が数多く報告されています。

災害発災直後の行動手順から、避難所で起こりやすいトラブルと対策など、実際に被災する前にここでしっかり準備しておきましょう。

この記事の目次

災害発生から30分以内に愛犬のために行うこと

地震直後はパニックになりやすく、何から手をつけるべきか分からなくなります。あらかじめ行動の順番を決めておくことで、慌てずに動けるようになります。

STEP
まず自分の安全を確保したうえで、犬を確保する

大きな揺れの最中は人もペットも動くと危険です。揺れが収まってから、落下物や割れたガラスに注意しつつ犬を確保しましょう。パニックで犬が暴れる場合もあるため、無理に抱き上げず声をかけて落ち着かせてから動くことが大切です。

STEP
首輪・リードを装着する

驚いて逃げ出してしまうのを防ぐため、確保したらすぐに首輪とリードを装着します。首輪が緩んでいないか、迷子札が付いているかもこの時点で確認しましょう。

STEP
避難情報を確認する

テレビ・ラジオ・防災速報アプリなどで、自宅周辺の避難指示や津波情報、近隣の避難所の開設状況を確認します。停電時は情報源が限られるため、後述する防災アプリを事前にインストールしておくと安心です。

STEP
持ち出しバッグを持つ

事前に準備していた1次持ち出し品(クレート・フード・水・常備薬など)を持ちます。探す時間を作らないために、玄関や車など取り出しやすい場所に常備しておくことが重要です。

STEP
同行避難する

環境省のガイドラインでは、ペットを残して避難すると後で迎えに戻った際に二次災害に遭う危険があるため、同行避難が基本とされています。迷っている時間が一番危険なので、まずは安全な場所まで一緒に移動しましょう。

犬の大きさ別に必要な備蓄量

備蓄量は体格によって大きく変わります。下記は体重を基準にした1日あたりの目安です。災害時は支援物資が届くまで時間がかかることを想定し、5〜7日分を目標に準備しましょう。

スクロールできます
サイズ水(1日あたり)フード(1日あたり)
小型犬(〜10kg程度)500ml〜1L100〜200g
中型犬(10〜25kg程度)1〜2L200〜400g
大型犬(25kg〜)2〜3L400g以上

※上記は体格による一般的な目安です。フードの量はパッケージに記載のカロリー・体重別の推奨量を、水分量は気温や活動量によって調整してください。療養食やアレルギー対応foodが必要な犬は、支援物資での代替が難しいため、特に多めの備蓄をおすすめします。

避難所で犬連れが実際に困ること

過去の災害では、防災グッズが揃っていても、避難所での共同生活そのものに苦労したという報告が多く見られます。よくある困りごとと、その対策をセットで紹介します。

📢

吠え続けてしまう

慣れない環境や物音、知らない人の出入りで犬が興奮し、吠えてしまうケースが報告されています。鳴き声は避難所での苦情の中でも特に多い原因のひとつです。

対策
普段からクレートトレーニングをしておき、クレートを「安心できる場所」にしておく。タオルやブランケットでクレートを覆い視界を遮ると落ち着きやすくなります。

🚽

トイレの場所・処理に困る

避難所内でトイレをさせる場所がない、排泄物の処理方法が分からないという困りごともよくあります。

対策
ペット用シーツと排泄物処理袋(防臭タイプ)を多めに持参し、屋外の決められたペットスペースで済ませる習慣を普段からつけておく。

🐕

他の犬・動物とのトラブル

慣れない環境で他のペットと近距離になることで、唸り合いや小競り合いが起きることがあります。

対策
クレートに入れた状態で管理し、他のペットのケージとの間に適度な距離を確保する。可能であれば避難所のペット専用スペースの配置ルールを事前に確認しておく。

👃

ニオイに関する苦情

体臭や排泄物のニオイが、ペットを飼っていない避難者から指摘されるケースがあります。特に集団生活では普段以上に気にされやすい点です。

対策
消臭スプレーやペット用ウェットシートを携行し、クレート内のシーツを定期的に交換する。可能な範囲でブラッシングや体の汚れのケアを行う。

🌡️

暑さ・寒さへの対応

避難所は空調が十分に効かない場合が多く、夏は熱中症、冬は低体温のリスクが高まります。

対策
夏は保冷剤・冷却シート、冬はブランケットや使い捨てカイロ(直接当てない)を備蓄しておく。ポータブル電源があれば小型の冷暖房器具を一時的に使うことも検討できます。

避難所生活に備えるクレートトレーニング

避難所では多くの場合、クレートでの管理が求められます。クレートに慣れていない犬は強いストレスを感じやすいため、平時のうちに少しずつ慣れさせておくことが、避難所での吠えやストレス対策に直結します。

1日目:クレートを「安全な場所」として認識させる

  • クレートの扉を開けたまま部屋に置き、自由に出入りできる状態にする
  • クレート内にお気に入りのおやつやおもちゃを置き、自分から入る経験を作る
  • 無理に閉じ込めたり、嫌がる中で押し込んだりしない

3日目:短時間、扉を閉めて過ごす練習をする

  • 犬が自分からクレートに入ったタイミングで、数分間だけ扉を閉める
  • 落ち着いていたら褒めて、徐々に滞在時間を延ばす
  • 不安そうに鳴く場合は時間を短く戻し、無理に伸ばさない

1週間後:日常生活の中にクレートでの時間を組み込む

  • 留守番や就寝時など、普段の生活の一部としてクレートを使う
  • 移動用クレートと同じものを使い、車での外出時にも慣れさせる
  • 避難所を想定し、物音がする環境でも落ち着いていられるか確認する

※慣れる速度には個体差があります。怖がる様子が続く場合は焦らず期間を延ばし、無理強いしないことが何よりも大切です。

同行避難と同伴避難の違い

防災情報でよく見るこの2つの言葉ですが、意味を正しく理解している飼い主はまだ多くないと言われています。環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」では、次のように定義されています。

基本となる行動

同行避難

災害発生時に、ペットと共に安全な場所(指定緊急避難場所など)まで移動する「避難行動」そのものを指します。避難所でペットと同室で過ごせることを意味するものではありません。

同伴避難

避難所などで、被災者がペットを飼養管理している「状態」を指す言葉です。同伴避難ができる避難所であっても、人とペットが同じ室内で過ごせるとは限らず、屋外や別棟にペット専用スペースが設けられる場合が一般的です。

つまり、多くの避難所が対応しているのは「同行避難」であり、ペットと同じ室内で生活できる「同伴避難」が常に可能というわけではありません。実際の災害でも、ペットと一緒に避難所まで来られても、屋内には入れず玄関や別棟で過ごすケースが多く報告されています。

事前に「自分が向かう予定の避難所が、どのレベルの受け入れに対応しているか」を確認しておくことが、当日の混乱を減らす鍵になります。

愛犬の防災手帳テンプレート

避難所では、はぐれた際の本人確認や、預け先での健康管理のために「ペットの情報カード」の提示を求められることがあります。下記のように紙に記入し、防災バッグに入れておきましょう。

🐾 愛犬の防災手帳

ここに犬の写真を貼る

名前
生年月日
犬種
体重
持病
アレルギー
常備薬(薬名・服用量・タイミング)
かかりつけ動物病院
電話番号
マイクロチップ番号
飼い主の連絡先(複数あると安心)

※マイクロチップを装着している場合は、日本獣医師会などの登録機関に連絡先が最新の状態で登録されているかも確認しておきましょう。

ペット同行避難可能な避難所を事前確認しよう

同行避難への対応は自治体・避難所ごとに差があります。当日慌てないために、事前に次の方法で確認しておきましょう。

① 市区町村の公式HP

「(自治体名)+ペット+同行避難」で検索すると、対応方針や必要な備蓄品の案内が掲載されているページが見つかります。避難所ごとに対応が異なる場合は、個別の避難所名も確認しましょう。

② 地域防災計画・防災マップ

自治体が策定する「地域防災計画」には、ペットの受け入れ体制についての方針が記載されている場合があります。配布されている防災マップにも避難所ごとの情報が載っていることがあります。

③ ハザードマップ

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」などで、自宅周辺の浸水・土砂災害・地震リスクを確認し、リスクに応じた避難先を複数候補として把握しておきましょう。

④ 防災訓練への参加

自治体が受け入れ可能であれば、ペットと一緒に地域の防災訓練に参加してみましょう。実際の受け入れ環境や持ち物を事前に把握できる貴重な機会になります。

災害別に必要な備え

「防災グッズ」とひとまとめにされがちですが、災害の種類によって備えるべきポイントは異なります。

🏚️

地震に備える

  • 家具の固定で、犬がいるスペースへの落下物を防ぐ
  • ガラスの破片対策として足裏保護グッズを用意
  • クレートはすぐ取り出せる場所に常備
  • 予兆がないため、備蓄は常に最新の状態を維持

🌀

台風に備える

  • 事前に進路予測が分かるため、早めの同行避難の判断を
  • 強風・大雨時の屋外でのトイレが難しくなるためペットシーツを多めに
  • 停電に備えてモバイルバッテリー・ポータブル電源を確認。

🌧️

豪雨に備える

  • 河川氾濫・土砂災害のハザードマップを事前に確認
  • 水没のリスクがある場合は早期の垂直避難・同行避難を検討
  • 濡れたクレート・タオルの予備を多めに持つ

💡

停電に備える

  • 夏冬は温度管理が生命に関わるため冷却・防寒グッズを優先
  • ポータブル電源やソーラーパネルで家電を一時的に稼働
  • 自動給水器・自動給餌器が使えなくなる前提で手動対応も準備

災害時に役立つアプリ・ガジェット

情報収集や日常管理を助けるデジタルツールも、ペット防災の心強い味方になります。

Yahoo!防災速報

Yahoo Japan Corp.

地震・津波・豪雨などの速報をプッシュ通知で受け取れる無料アプリ。複数地点を登録できるため、自宅と避難先の両方の情報を確認できます。

NHKニュース・防災

NHK(日本放送協会)

気象警報や避難情報、ライブ配信のニュースを確認できる公式アプリ。停電時でも電池が残っていれば情報源として活用できます。

犬用GPSトラッカー

各メーカー

首輪に装着し、スマホで位置情報を確認できる機器。はぐれてしまった際の捜索に役立ちますが、通信環境に依存するため、迷子札との併用がおすすめです。

SwitchBot(スマートプラグ・温湿度計)

SwitchBot

外出先からでもスマホで室温や家電のオンオフを確認・操作できるシリーズ。停電が回復した直後の温度急変や、留守中の熱中症対策のモニタリングに活用できます。

過去の災害で報告されているペット避難の記録

東日本大震災(2011年)

同行避難の重要性が広く認識されるきっかけとなった震災

困ったこと

当時はまだ同行避難の考え方が十分に広まっておらず、避難指示区域で飼育されていた犬猫およそ1万6,500匹のうち、飼い主とともに同行避難できたのはわずか1,670匹にとどまったと報告されています。自宅に取り残されたペットを心配して自宅に戻り、二次災害に遭う事例も発生しました。

教訓として広まったこと

この経験を踏まえ、2013年に環境省が「災害時におけるペット救護対策ガイドライン」を公表し、同行避難の推進が国の方針として明確化されました。

出典:空飛ぶ捜索医療団ARROWS、環境省ガイドライン関連資料

熊本地震(2016年)

同行避難は広がったが、避難所運営のルール不足が課題に

困ったこと

環境省の記録集では、多くの避難所で受け入れルールが決まっていない状態で同行避難者を受け入れたため、後にペットを飼っていない避難者との間でトラブルが発生した事例が多く報告されています。鳴き声やニオイ、排泄物の管理を理由とした苦情も多く見られました。

教訓として広まったこと

トラブル発生後に被災者とペットの居住ゾーンを分ける対応で多くが解決したことから、事前にゾーニングなどの受け入れルールを定めておく重要性が指摘されています。地元の動物病院が施設を開放し、長期間にわたりペット同伴の避難を受け入れた事例も記録されています。

出典:環境省「熊本地震における被災動物対応記録集」、日本経済新聞、公明党ニュース

能登半島地震(2024年)

同行避難への理解は進む一方、受け入れ可否は避難所ごとに差

困ったこと

支援団体の報告では、避難所に入れず車中泊を選んだ飼い主が多かったとされ、特に吠え癖のある犬や大型犬を連れた飼い主にその傾向が強かったと報告されています。また、自宅が倒壊し、フードやペットシーツなどの必需品を持ち出せなかったケースも多く見られました。

教訓として広まったこと

金沢市内の避難所ではペット飼育用のトレーラーハウスを設置するなど、受け入れ環境を整える動きが広がりました。日頃から非常用品を取り出しやすい場所に常備しておくことの重要性が改めて指摘されています。

出典:日本経済新聞、ピースワンコ・ジャパン活動報告

※上記は各団体・報道機関による公開情報をもとに、モフラボ編集部が要点を整理したものです。災害ごとの状況や避難所の対応は異なるため、最新の情報は各自治体・環境省の公式発表をご確認ください。

よくある質問

「同行避難」と「同伴避難」はどう違いますか?

同行避難は、災害時にペットと共に安全な場所まで移動する「避難行動」を指します。同伴避難は、避難所でペットを飼養管理する「状態」を指す言葉で、環境省のガイドラインでは同行避難が基本とされており、避難所で人とペットが同室で過ごせるかどうかは自治体や避難所ごとの判断に委ねられています。

避難所で犬が吠えてしまう場合、どう対策すればいいですか?

クレートに普段から慣れさせておくことが最も効果的です。クレート内を「安心できる場所」と認識させることで、慣れない環境でも落ち着きやすくなります。加えて、ブランケットで目隠しをする、普段使っているニオイの付いたタオルを入れるなどの工夫も有効です。

クレートトレーニングはどのくらいの期間で慣れますか?

犬の性格や経験によって個体差がありますが、短時間の出入りから始めて1週間ほど継続することで、クレート内で落ち着いて過ごせるようになる犬が多いとされています。災害はいつ起きるか分からないため、早めに練習を始めることが推奨されます。

【免責事項・アフィリエイト表示】本ページにはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。リンク先での商品購入により紹介料を受け取ることがあります。本記事は環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」、各自治体の公開情報、報道機関の取材記事をもとに作成していますが、避難所ごとの対応・ルールは変更される可能性があるため、最新情報は必ずお住まいの自治体・避難所にご確認ください。

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